声だけが頼り

家族そろって長野市善光寺に行ってきました。

数えで7年ごと(6年に1回)の御開帳の時期で
平日なのにとてもにぎわっていました。

御開帳とは
回向柱(えこうばしら)という大きな柱にさわるイベント
と聞いていたのですが
他にも、『お戒壇(かいだん)巡り』という、コースがあり
興味深かったので、ご紹介します。

お経を唱えている本堂の脇を進むと
下に降りる階段があります。
この昔ながらの急な階段を降りていくと、
窓のない真っ暗な場所に着きます。

ここでは、錠前にさわるといいことがあるらしいのですが
真っ暗な部屋だか廊下だか何も見えない場所なので
壁づたいに感触と音だけを頼りに進んでいくわけです。


前回、経験者のいましたから
本当に真っ暗だからね、と言われたとおり
真っ暗闇でした。

妹がどこにいるのかもわからなくなったとたん
それまで気にもとめていなかった、
前のお客さんの声が響いてきました。

「どこ〜?」
「あ、これかしら?あー、違った」
「腰の高さにあるのよね〜」

「ガチャガチャ」
「あったわ。ここよ〜。ガチャガチャ」
「次の方、ここですよ〜」
と元気なオバサマ達のおかげで
私も無事に錠前に触れることができました。

暗闇の中にいると、
自然とまわりを思いやる優しい気持ちになり
次々と心と声のバトンがつながるような気がします。

いつもこんな気持ちで声が出せると
優しい世界になりそうですね。